もののあはれを表す「幽玄」を体現する腕時計。
デザイナーのデニス・グイドーネは、彼自身のその強い存在感からは思いもよらないような繊細なアプローチで創造します。彼のプロダクトは非常にコンセプチュアルで、思わずニヤリとさせるアイロニーに満ちており、そのクレバーな個性にガツンとやられてしまうファンも多いことでしょう。私もその一人です。
YUGENは、1分間のうち約1/5は「今何時か」がわかりません。時針と分針が徐々に姿を消してしまい、秒針のみが時を刻みます。時刻を知らせるのが役目である時計としては、本来ありえないことです。が、その「正確な時刻を知りたい」とやきもきする数秒間の長さ、そしてもどかしさからくる不安な気持ちの体験は非常にユニークで味わい深くおもしろい。普段とは異なる質の時間を過ごした感覚です。たっだ数秒を惜しんでまで時間に追われる様を皮肉っていると思うと、「ドンマイ、おおらかにいこう」と妙にさわやかな気持ちにもなります。
一見デジタルに明度を調整しているように見えますが、完全にアナログなのがこの時計の趣深く個性的なところです。種明かしは、2枚の偏光板。一方向に振動する光だけを通過させる性質をもつ偏光板2枚を直交させると重なった部分が暗くなるのを利用しています。理屈は知っていても、アイディアとデザインの力でこれほど「もののあはれ」を感じさせるプロダクトに仕上げるNAVA DESIGNの底力に感服です。
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